名誉ローンは、事業の創業、承継、成長を目指すフランスの事業者が利用できる資金調達ツールの一つです。無利子融資なので起業家にとって非常に大きな支えとなります。名誉ローンは自己資金を補強する形で資金を提供するため、プロジェクトに必要な銀行融資が受けやすくなります。
この記事では事業者向けの名誉ローンについて解説します。具体的にはこの恩恵を受けられる事業者、メリット、名誉ローンを獲得する手順などをご説明します。
目次
- 名誉ローンとは
- 名誉ローンが必要な理由
- 名誉ローンの恩恵を受けられる人
- 名誉ローンの金額
- 名誉ローンの申し込み
- 名誉ローンの返済
- Stripe Capital でできること
名誉ローンとは
名誉ローンは事業の創業、承継、成長のための資金を調達する際に利用できる無利子融資です。これは企業ではなく個人に対して行われる融資であり、保証人や保証金が一切不要です。このローンの目的は、企業の自己資金を積み増しすることにあります。
名誉ローンは、利用目的を限定せず個別のプロジェクトのニーズに柔軟に対応できる資金調達方法として、フランスの起業家に支持されています。また小規模プロジェクトであれば、銀行のビジネスローンを利用せず、名誉ローンだけで全額を賄うことも可能です。あるいはよく行われているように、銀行融資の補完として利用することもできます。例えば、フランスの投資銀行 Bpifrance は 2024 年に 2 万件、総額約 1 億300 万ユーロに上る名誉ローンを供与しました。
また、起業家は名誉ローンを受けることでプロジェクトの資金を獲得し、創業時から安定した資金繰りを確保するとともに、企業を持続的に経営していくためのきめ細かな支援を受けられます。
名誉ローンを供与する団体
フランスでは、各種支援団体、実務家ネットワーク、地方自治体、専門民間団体など、様々な団体が名誉ローンを供与しています。その中でも主要な団体として Initiative France および Réseau Entreprendre という 2 つの支援ネットワークが挙げられます。この 2 団体はそれぞれ独自の特徴を持ち、対象とする業種や独自の審査基準を設けています。
名誉ローンを獲得するチャンスを最大限生かすために、起業家はどの団体が自社のプロジェクトやプロフィールに最適かを判断する必要があります。名誉ローンの供与団体には主に次のようなものがあります。
- 個人起業支援協会 (Association pour le Droit à l'Initiative Economique, ADIE)
- France Active
- Bpifrance
- 特定の地域または国の行政機関 (例: ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏、ブルターニュ地方)
- 地域の金融機関 (例: Initiactive、Germinal、Hodéfi、Paris Initiative Entreprise [PIE])
名誉ローンの種類
名誉ローンには、従来型に加えて、プロジェクトタイプや起業家の資金調達ニーズに合わせて様々な種類があります。
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ソーシャル名誉ローン
これは創業または事業承継から 3 年以内で特定の条件を満たす起業家に対して、Bpifrance が供与している名誉ローンです。具体的な対象者は以下のとおりです。雇用復帰手当または再就職支援手当の受給者、国立雇用庁 (France Travail) に過去 18 カ月のうち合計 6 カ月超登録されている無職の求職者、活動連帯所得 (RSA) または特定連帯手当 (ASS) の受給者、など。
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イノベーション栄誉ローン
このローンは創業から 3 年以内でパリに本社を置く起業家に供与されます。さらに、このローンを供与される起業家には、革新的なツール、技術、またはデジタルソリューションを開発することが求められます。
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女性起業家向け名誉ローン
Wom’energy du Réseau Entreprendre などの一部の団体は、女性起業家の創業や事業承継を奨励する無利子の名誉ローンを供与しています。
名誉ローンが必要な理由
起業家が名誉ローンを利用することには、いくつかのメリットがあります。名誉ローンは無利子で保証人も不要なので、事業者には非常に魅力ある資金調達ツールです。さらに、名誉ローンは特定のプロジェクトに限定されず、世界中どこでも利用できるというメリットがあります。その他にも下記のような利点があります。
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利用しやすさ: 名誉ローンは、条件が厳しい従来型の銀行融資より利用しやすいという特徴があります。
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無利子: 名誉ローンは無利子なので、事業者は借りた金額のみを返済します。
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無担保: 名誉ローンは、保証金、担保 (例: 抵当権、質権、留置権)、金融保証を必要としません。起業家は自身の名誉にかけて融資を返済することのみを約束します。
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自己資金の増強: 名誉ローンは運転資金やスタートアップ費用に充てることができます。
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銀行融資が利用しやすくなる: 名誉ローンは起業家の事業用銀行口座ではなく個人口座に振り込まれます。したがって起業家の融資能力が向上し、金融機関からの融資を受けやすくなります。
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銀行融資の拡充: 名誉ローンを銀行融資と組み合わせて利用すると、大きな相乗効果があります。起業家は、名誉ローン €1 につき追加の銀行融資 €7 ~ €13 を受けられる可能性があります。
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専門家による無償の支援: 創業、事業承継、あるいは事業成長の専門家が、追加の資金調達に向けた申請書類の作成を支援するなど、スタートアップ期の起業家を支援します。
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様々な支援との組み合わせ: 名誉ローンは他の名誉ローンや、起業・事業承継支援 (ACRE) などの他の利用可能な支援制度と組み合わせて利用することができます。これにより、プロジェクトの資金調達を統合して成功の可能性を高められます。
名誉ローンの恩恵を受けられる人
名誉ローンは資産状況、年齢、国籍、事業形態に関係なく、起業家であれば誰でも受けることができます。つまり、課題を抱えている事業者、失業者、個人事業主でも名誉ローンを利用できるのです。
名誉ローンの資格を得るには、プロジェクトの経済的実現可能性と資金計画の堅実性を証明する必要があります。ただし、無利子ローンの対象外となる業種があり、条件は団体によって様々です。例えば、次の業界は対象外となります。輸出業、農業、漁業・養殖業、不動産開発業、不動産賃貸業、金融仲介業。
名誉ローンの金額
名誉ローンの金額は、供与団体、提出されたプロジェクトの種類、起業家の資金ニーズなどによって、€1,000 ~ €90,000 になります。例えば、Initiative France ネットワークの場合、平均的な金額は €10,000 です。
名誉ローンの申し込み
名誉ローンの申請には供与団体への最初の連絡から、供与団体による申請の処理、実際の供与に至るまで、いくつかの段階があります。一般的な手順は以下のとおりです。
- 展開したいプロジェクトについて明確な構想を持ち (事業の創業、承継、成長)、事業化プロセスを開始する (例: 確実性の高い事業計画の策定、暫定的な資金調達の目処)。
- 自身のプロフィールとプロジェクトに合致する地域の支援団体を特定し、窓口に連絡する。
- 担当者に面談し、数回にわたる打ち合わせでプロジェクトの内容を説明する。この間に、担当者と共同で事業計画の精査、適切な融資額の決定、資金計画の策定、課題の議論を行い、名誉ローンの申請書を作成する。
- 名誉ローンの申請書の他、必要な情報を提出する。具体的には、事業計画、資金計画、履歴書、カバーレター、個人情報 (例: 身分証明書、住所証明書)、その他事業に関わる行政書類 (例: 定款、Kbis extract (登記簿謄本)) など。
- 申請が採択されると、企業経営者、銀行員、会計士、その他専門家で構成される承認審査委員会でプロジェクトのプレゼンテーションを行う。この面談の目的は、プロジェクトに対する自身の真摯な取り組み、実現可能性、自身の経験と意欲、資金計画の信頼性などを承認審査委員会のメンバーに納得させることである。
- 承認審査委員会からの回答を待つ (3 ~ 6 カ月)。委員会はプロジェクトの実現可能性を審議し、無利子ローンの申請を承認するか否かを決定する。
- 名誉ローン契約を締結する。契約書には償還スケジュール、返済条件、最終的な合意金額 (申請金額と異なる場合がある) などが明記される。
名誉ローンの返済
名誉ローンの返済は、契約条件に従って起業家個人が責任を負います。返済は、該当するプロジェクトの成功または失敗にかかわらず開始され、通常は 7 年以内に完済します。返済方法は、事業計画および契約期間に基づいて毎月分割で行われます。
融資条件によっては、数カ月から数年の返済猶予を受けることも可能です。それにより借り手は一定の据置期間を経てから返済を開始することができます。
Stripe Capital でできること
Stripe Capital は、事業の成長に必要な資金へのアクセスを支援する収益連動型の資金調達ソリューションを提供します。
Capital でできることは次のとおりです。
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成長資金への迅速なアクセス: 従来の銀行融資のような時間のかかる申し込みプロセスや担保要件なしに、融資またはマーチャントキャッシュアドバンスの承認を数分で受けられます。
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収益に連動した融資: Capital の収益連動型モデルでは、毎日の売上の一定割合を支払うため、返済額は事業の実績に応じて増減します。売上からの支払額が各返済期間の最低支払額に満たない場合、Capital は期間終了時に不足分を銀行口座から自動的に引き落とします。
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安心して事業を拡大: マーケティングキャンペーン、新規採用、在庫拡充などの成長施策に資金を充当できます。持分を希薄化させたり、個人資産を担保に差し入れたりする必要はありません。
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Stripe の専門知識を活用: Capital は、Stripe の深い専門知識と決済データに基づくカスタム資金調達ソリューションを提供します。
Stripe Capital が事業の成長を後押しする方法についてはこちらをご覧ください。また、今すぐ始めることもできます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。