近年、EC サイトやアプリによるオンラインショッピングは、人々の日常生活に欠かせないものとなっています。オンライン購入は、個人およびビジネス目的で盛んに行われています。EC サイトでオンライン注文を受ける企業は、領収書の取り扱いに特に注意を払う必要があります。
領収書は、購入者から代金を受領したことの証明となる重要書類です。ネットショップでは通常、クレジットカード決済のようなオンライン決済のほか、代引き (代金引換) や銀行振込などのさまざまな決済手段が提供されていますが、各決済手段によって、領収書の取り扱い方が異なるケースがあります。そのため、ネットショップの運営事業者は、領収書の基本情報を理解したうえで適切に対応しなければなりません。
本記事では、ネットショップの運営に携わる日本の事業者が知っておくべき、領収書の発行義務の有無や記載が必要な項目・情報、注意点を踏まえて解説します。
目次
- 領収書とは
- ネットショッピングでの領収書発行義務の有無
- ネットショップの領収書で記載が必要な項目・情報
- 決済手段別: ネットショップの領収書発行に関する基礎知識
- ネットショップの領収書の注意点
- Stripe Checkout でできること
領収書とは
冒頭でも解説したように、領収書とは、商品やサービスを提供した事業者が、代金を受け取った事実を証明するために発行する書類です。最近では、電子で発行される電子領収書が紙に代わって一般的になりつつあり、ネットショップ事業でも頻繁に取り入れられています。
領収書は発行する側、受け取る側に関わらず、経理上の証憑として税金の申告や納税の際にも有効とされる重要な取引関係書類です。特に今日の日本では、現行のインボイス制度のもとで事業者が消費税の仕入税額控除を適用するには、インボイス制度に準拠した領収書の発行と保存が求められます。そのため、領収書を取り扱うすべての事業者は、同制度についても十分に理解を深めておく必要があるといえるでしょう。
領収書への消費税の記載に関する詳細は後ほど詳しく解説しますが、領収書の場合は通常、内訳に 10% の標準税率と 8% の軽減税率ごとに区分した記載が必要となります。
ネットショッピングでの領収書発行義務の有無
通販事業者、または購入者の方の中には「ネットショップに領収書の発行義務はあるのか?」、「ネットショッピングの場合領収書はないのか?」という疑問を持ったことはないでしょうか。
まず、領収書は原則として、購入者から求められた際に、その要求に応じて発行する義務があります。これは、代金の支払者には代金の受領者が発行する受取証書、すなわち領収書の請求権があることが、日本の民法第 486 条で定められているためで、支払者から領収書を依頼された事業者には、領収書の発行義務が生じるのです。
発行義務は、購入者から代金を受け取ると同時に領収書を求められた際に生じます。つまり、領収書を発行するタイミングは、購入者によって対価が支払われるのと同時であることが原則になります。
この原則を紐解くと、購入者から直接代金を受け取るのは、必ずしも商品を販売した事業者とは限らないということを、ネットショッピングの場合は考慮しておく必要があります。
ネット購入の場合、決済手段あるいは決済を実行するタイミングがさまざまに異なるほか、銀行振込のようないくつかの決済手段を除けば、実店舗のように購入者から直接代金を受け取る仕組みにはなっていません。したがって、厳密にいうと決済手段によっては、領収書発行義務の対象はネットショップではなく代金を回収する決済代行業者になり、ネットショップ側は領収書を発行する義務を直接的に負っていないということになります。
しかしながら、実店舗と同様に一般的な商習慣として、領収書はネットショップ、すなわち販売者が発行すべきものと、多くの消費者は考えます。したがって、購入者からの領収書発行の要望に応じないと、自社のサービスについてよくない印象を与えてしまう可能性もあるため、領収書発行には柔軟に対応した方が無難といえます。
領収書の代わりになる書類
オンラインストアでは、領収書の代わりに他の書類を使用できます。顧客にこれらの書類を提供する場合、企業は領収書を別途発行する必要はありません。
また、クレジットカードなどのオンライン決済の場合上記のほか、決済完了の直後に支払者が受信する確認メールも領収書として代用できます。電子決済が頻繁に行われる今日では特に、決済日時や取引内容、代金の詳細が含まれる確認メールは、正式な領収書と同じように金銭の授受を証明できる重要な情報源とみなされています。
ネットショップの領収書で記載が必要な項目・情報
ネット注文に対して領収書に記載が求められる項目・情報は以下のとおりです。
-
宛名
顧客の名前や名称を記載します。不正防止のため、宛名は必ず発行者が記載しましょう。また、会社名の場合は必ず正式名称にし、「株式会社」であれば (株) と略さず「株式会社」と記載することが大切です。
-
発行者名・所在地・連絡先
領収書の発行者として、自社の正式名称に加え、住所やメールアドレス、電話番号を併記しましょう。
-
取引年月日
商品の発送や引渡しを行った日付ではなく、代金を受領した年月日を記載します。
-
合計金額
実際に受領した税込の合計金額を記載します。金額の書き方については、数字が読みやすくなるよう、また、改ざん防止のためにも「¥5,000−」のように数字の頭には「¥」を、数字の末尾には「−」を表記し、数字には 3 桁ごとにカンマを付けましょう。
-
但し書き
取引内容 (品目・サービス内容) や支払方法を記載します。 文末は改ざん防止のため「〜として」で終えるのが一般的です。複数の異なる商品を記載する場合、但し書きのスペースに限りがあるため、「書籍、事務用品として」のようにカテゴリに分けて記します。なお、但し書きだけでは明記しきれない場合、納品書も添付するとわかりやすく、より親切といえるでしょう。このほか、軽減税率の対象となる商品を含む場合は「※軽減税率対象」のように、その旨を但し書きに記載する必要があることも覚えておきましょう。
-
内訳
内訳には、税率ごとに区分した合計金額を記載します (税込、税抜のどちらでも可) 。また、インボイス制度開始後の現在は、税率ごとに区分した適用税率 (8%・10%) や、税率ごとの消費税合計金額も記載する必要があります。なお、同制度では消費税以外にも記載要件が細かく定められていることから、領収書を作成する際は国税庁の資料にしっかりと目を通しておくようにしましょう。業種によっては適格請求書の代わりに、簡易インボイスでの対応が可能なケースもあります。
-
再発行ができない旨
後ほど本記事内にて詳しく解説しますが、後日領収書の再発行を顧客から依頼される場合があります。そのため、再発行は基本的に承ることができない旨を領収書の余白スペースなどで事前に周知しておくことが大切です。書き方としては、「申し訳ありませんが、領収書の再発行は行っておりませんので、大切に保管してください。再発行には不正利用および二重発行のリスクがともなうため、ご了承いただけますようお願い申し上げます。」のように明記するとよいでしょう。
決済手段別ネットショップの領収書発行の基礎知識
ここでは、各決済手段ごとに異なる、ネットショップの領収書発行に関するポイントを見ていきましょう。
クレジットカード決済
ネットショッピングの際にクレジットカードが用いられた場合、ネットショップ側に領収書を発行する義務は基本的にはありません。また、先述したクレジットカードの利用明細書は、領収書に代わる書類として有効なため、顧客から領収書の発行依頼を受けた際はその旨をまず説明してみましょう。もし顧客が領収書をどうしても必要とする場合は、要望に応じるかたちで領収書を発行するのが望ましいでしょう。
こうしたケースで領収書を発行する際は、但し書きに「クレジットカードにて支払い」と、現金取引がなかった旨を明確に記しておくことが重要です。これにより、領収書の二重発行を回避できるほか、税抜 5 万円以上の取引でも 収入印紙の貼付が不要なことを証明できます。PDF 化した領収書をメールやクラウド上で交付する場合、たとえ 5 万円以上の取引でも収入印紙を貼付する必要はありません。
QR コード決済
クレジットカードと同様に、QR コードを使用して決済が行われる場合、通常、ネットショップに領収書発行義務はありません。ただし、ネットショップと QR コード決済代行業者との契約条件によっては、顧客が取引を完了した時点でネットショップが決済を受け取っている場合があります。その契約条件に該当する QR コード決済では、顧客が領収書を請求したときにネットショップは領収書を発行する必要があります。QR コード決済の領収書を発行する際は、備考欄に「[決済サービス名] で支払い済み」と記載してください。
代引き (代金引換)
代引きの場合、配送業者が商品を届ける際に代金を受け取ります。そのため、ネットショップに領収書の発行義務はありません。したがって、顧客が領収書を求めてきた際は、配送業者が発行する代引金額領収書が領収書の代わりとなることを顧客に伝えましょう。
もちろん、上述の決済手段と同様に、顧客の要望に添うよう領収書を発行することは可能です。しかしその場合、二重発行を防止するため、顧客から代引き金額領収書を回収してから発行する必要があります。ネットショップ側は、配送業者によって交付済みの代引金額領収証と引き換えに領収書を交付することで、二重発行を防げるようになります。
代引き決済では顧客と配送会社の間で現金取引が発生しますが、顧客とネットショップの間では現金取引は発生しません。したがって、ネットショップが発行する領収書に収入印紙は不要です。ただし、領収書の備考欄に「[Year] 年 [Month] 月 [Day] 日に代引きとして支払い」と明記する必要があります。
銀行振込
銀行振込では、振込明細書または通帳の記載を領収書として使用できます。また、その旨を事前に顧客へ知らせておくことをお勧めします。顧客が領収書を強く求める場合は、重複を避けるため、領収書に「[Year] 年 [Month] 月 [Day] 日に銀行振込で支払いを受領」といった注記を含めてください。
ネットショップの領収書の注意点
ここでは、領収書の発行に際して、ネットショップが事前におさえておくべき注意点について紹介します。
ポイントやクーポンを利用した買い物
顧客がポイントやクーポンを利用して買い物をした場合、実際に顧客が支払う金額は、商品の価格よりも低くなります。したがって、領収書には実際に顧客から受領した金額、すなわちポイントやクーポン分を差し引いた金額を記載します。
もし、ポイントやクーポンの利用によって全額がまかなわれた場合、ネットショップは顧客から商品代金を受け取っていないことになるため、領収書を発行しなくても基本的には問題はありません。しかし、顧客が領収書を発行してほしいと依頼した場合は、但し書きに「全額をポイント利用にて支払い済み」としっかりと明記しましょう。
領収書の再発行を依頼された場合
領収書を受け取った側が、紛失などの理由によって再発行を依頼するケースがあります。しかしながら、ネットショップ側からすると、領収書を本当に紛失したのかを確かめる術がないため、不正利用目的で再発行を依頼している可能性も考慮しなければなりません。もしも、同じ記載内容の 2 枚の領収書が経費の水増しなどに悪用された場合、不正を行った側だけでなく領収書の発行者も責任を問われる恐れがあります。
また、領収書には再発行の義務はないため、このような依頼を受けた場合は安易な再発行は避け、丁重に断るのが賢明といえるかもしれません。その際、先方には「不正利用や二重発行を防止するため」であることを伝えましょう。これと併せて、領収書として代用ができる書類について案内すると、より親切です。
それでも、顧客側のやむを得ない事情によって領収書を再発行しなければならない場合、後ほど税務署から二重発行と誤解されないよう、以下のような工夫を講じることが大切です。
- 再発行依頼を受けた日を記録しておく。
- 紛失や破損など、再発行の理由を記録しておく。
- 交付済みの領収書回収の有無を記録しておく (紛失により回収が不可能な場合、その旨を記録する)。
- メールで依頼を受けた際は、メールの依頼内容を PDF 化して記録として残す。
- 領収書が残っている場合は部分的であったとしても回収し、それと引き換えに再発行分を送付する。
- 領収書には大きく「再発行」と記す。
- 領収書には、「[理由] により再発行されました」と明記してください。
- 「領収書」ではなく、「領収証明書」または「支払証明書」と名前を変更したものを発行する
ネットショッピングが広く普及する中、ネット通販事業を展開する事業者は、領収書業務をスムーズに進められるよう、領収書の役割、領収書として代用可能な書類、注意点についてしっかりと理解しておくことが大切です。特に、領収書の再発行については、再発行ができない旨を前もって知らせておくようにし、二重発行を防ぐためのポイントをおさえておけば、後々のトラブルの防止にもつながります。また、これにより、顧客からの領収書に関する問い合わせにも迅速に対応できるだけでなく、対応にかかる手間を省けるようにもなるでしょう。
Stripe Checkout でできること
Stripe Checkout は、ウェブサイトやアプリで簡単に決済を受け付けられる、完全カスタマイズ可能な構築済みの決済フォームです。
Checkout でできること。
購入率の向上: Checkout の決済フォームはモバイル向けに最適化され、ワンクリックで完了する決済フローが構築されています。顧客は支払い情報を簡単に入力し、再利用できます。
開発時間の短縮: Checkout を自社サイトに直接組み込むか、顧客を Stripe のオンライン決済ページへ誘導します。数行のコードで実行可能です。
セキュリティの向上: Checkout が機密性の高いカードデータを処理し、PCI 準拠を効率化します。
グローバルに拡大: 30 以上の言語に対応する Adaptive Pricing により、100 以上の通貨で価格をローカライズできます。また、購入完了率の向上につながりやすい決済手段を動的に表示します。
高度な機能: サブスクリプションのための Billing、不正利用防止のための Radar など、他の Stripe プロダクトと Checkout を連携できます。
柔軟な管理: 決済手段の保存や購入後のアクション設定など、決済体験を完全にカスタマイズできます。
この記事の内容は、一般的な情報および教育のみを目的としており、法律上または税務上のアドバイスとして解釈されるべきではありません。Stripe は、記事内の情報の正確性、完全性、妥当性、または最新性を保証または請け合うものではありません。特定の状況については、管轄区域で活動する資格のある有能な弁護士または会計士に助言を求める必要があります。